わたしたちの給与が決まる仕組みと交渉や要請が必要な理由

先日は、民間春闘や国の人事院勧告とわたしたち教職員の給料との関連についての記事をあげました。そこでは、以下のポイントについて解説しました。

  • 公務員の給料は、基本的には民間と同じくらいになるように毎年調整される(民間との均衡)が原則であること
  • 人事院、人事委員会という第三者機関によって民間と公務員の給与調査があって、それにもとづいて、国や自治体に勧告を出すということ
  • 国家公務員の給料について調査している人事院勧告も地方の人事委員会勧告に影響を与えるということ。
  • さらに、民間の春闘の結果次第で次の調査の結果も変わってくるということ

この記事もぜひ一度読んでみてください!

教職員の給料はどう決まるのか。春闘と人事院勧告と人事委員会勧告と。

みなさんは自分たちの給料について、ふだんどんなことを考えていますか?あまり何も考えていない人もいるだろうし、将来のことがとても心配な人もいると思います。今の日…

今回はその続きです。

第三者機関の勧告が出て、給料があがったり下がったりするのなら、それで終わりではないの?

いいえ。実は、そこからさらに、交渉や要請が必要なのです。その理由について解説します。

大阪府人事委員会勧告に強制力はありません

民間の春闘があり、国家公務員の人事院勧告を経て、
都道府県人事委員会勧告があるということは、
先日お伝えしたした通りです。

わたしたち公務員は、労働基本権が制限されています。

人事院勧告、人事委員会勧告がその代わりなのです。

本来ならば持っている権利のかわりなので、
わたしたちは、当然、府当局に対してその勧告の実施を求めます。

労働基本権のかわりとなる勧告なので、
当然、府当局は出された勧告には従うべきもので、
府当局も要求への回答では次のように答えています。

人事委員会勧告は労働基本権の代償措置であって、基本的には従うべきものである。

しかし、最終的にこの勧告に強制力はないのです。

府当局は勧告どおりに給料を上げたり下げたりしないこともある

強制力がないので、府当局はいろいろと理由をつけて、
勧告の内容を守らないこともあります。

「公務員の給料をあげましょう」という勧告がでたとき

勧告を実施することで「給料があが」り、
府の財政が圧迫されると判断したときには、

給料をあげなさいという勧告の内容を値切ろうとします。

ときには、
財政事情を理由に条例を作って
人件費(給料やボーナス)の削減に踏み切ったこともあります。

この条例は10年以上続き、
人事委員会勧告で定められた給料からおよそ5%少ない状況だったこともあるのです。

「公務員の給料を下げましょう」という勧告がでたとき

逆に、勧告により「給料が下がる」となると、
府の財政状況を圧迫することはなくなるので、
すぐに勧告の内容を実施しようとします。

ただし、ほうっておくと、
一部府に都合の悪いところは無視した提案をすることもありました。

例えば、過去、勧告では

「生活への影響が大きいから、実施は1月からでいい」

と言っているのに、府当局からは

その減額分を4月にさかのぼって適用する

という提案がなされたことがありました。

管理する側はとにかく節約したい

これでは、何のための勧告なのだろう…となってしまいます。

労働基本権が制限されている代償になっているのだろうか?とも思ってしまいますよね。

う〜ん、でも、財政状況厳しいなら仕方ないんじゃないの?

はい。もちろん無い袖は触れないというときもあるでしょう。そこで、労働組合の出番です。

例えば、過去給料を増やすという勧告が出た時、
最初、府からは、

「一般会計が厳しいし、蓄えも少ないから、ちょっとふやせないのです」

という提案。

そこで、わたしたちの代表で交渉をしている人たち(府労連といいます。あとに解説あり)が
調査・研究をしたところ、そうでもないのではないか?となりました。
そして、いろいろなデータを出して、
反論しました。

このとき、府は全く勧告どおりには給料をふやしませんでしたが、
この交渉の過程で、ある程度の給料の増額となったのです。

要するに、事実に対しての見方がちがうわけです。

大阪府当局のスタンスと労働者のスタンスのせめぎあい

がここにあるわけです。

府労連〜大阪府で働く人たちがつながって交渉力を強化!

わたしたちの給料など勤務条件の交渉で活躍するのが府労連(ふろうれん)です。

府労連とは

大阪府で働く公務員の労働組合3団体の合同で結成されている組織で、大阪府(政令市を除く)の教職員の給料やボーナスの金額、勤務条件について府当局と交渉をすすめています。

法律では、勤務条件の決定にあたって
労働組合の要求があったときには、
これに誠実に回答しなければならないとされています。(労働組合法第7条2項)

「府労連」との交渉を経て
給料やボーナス額が決定されるということなのです。
府当局はこの要求を無下にすることはできないということなのです。

罰則規定があるわけではないのですが、
この労働組合のしくみは
人類が長年かけて積み上げてきた
一人ひとりの労働者にとって
とても大切な仕組みなのです。

「府労連」は、大阪府で働く人たちがつながることを通して
交渉力を強化しています。 

つまり、わたしたち一人ひとりがつながることで、
府労連執行部は当局との交渉を粘り強く進めていくことができているのです。

府労連の基本方針

府労連の基本方針は、

人事委員会勧告を遵守

することです。

これは、給料やボーナスがあがるときもさがるときも同じです。
法律でそう定められているからです。

じゃあ、やっぱり言いなり?組合意味ない?いいえ。

府労連としては、勧告が検討されるときには、
人事委員会への要請をしています。
実は、現在の大阪府人事委員会のとっている民間と公務員の給料の比較方法が、
総務省が基本としている方法とは、大きく異なっているのです。

この影響で、多くの都道府県で公務員給料があがる勧告が出る中、
大阪だけ下がる勧告がでたりすることもあったりします。

現在、この比較方法についても、要請行動をつよめているところなのです。

そして、秋、勧告をうけて大阪府当局が給与改定や勤務条件について、府労連に提案をする時期となります。

2022府労連秋季年末闘争がはじまっています!

私たちの給与、勤務条件改善のとても重要な時期です。 今年度は、以下の日程を当面の最終回答をもらう日にしています。もちろん、ひどい回答なら、年を越して闘争継続です…

組合員のみなさんに支えられている府労連、もしなかったらと思うと😅

過去、橋下知事のときには人事委員会勧告を無視した、大幅な給料減額が実施されました。
そして、その減額はその後10年以上続き、

様々な権利についても、大きく後退提案がなされました。

が、府労連の交渉のおかげで、およそ半分くらいにおしとどめたという経緯もあります。

残念ながら、このときに、ボランティア休暇や妊娠障害休暇などが削減されました。

これでも半分くらいおしかえしたということなのです。

まとめ〜交渉・要請という組合の動きがなかったとしたら、勤務条件はひどいことになっている

ここまでの内容をまとめると

  • 労働基本権が制限されている公務員の給料は人事院、人事委員会が民間との均衡をもとに勧告をする
  • 勧告を実施するかどうかは府当局が最終決定するが、しないからと言って罰則はない
  • 府当局は給料が増えるときも、減るときも、なんとか人件費をおさえようとする
  • しかし、府労連と府当局の交渉、人事委員会への要請によって、給与や勤務条件の改善を実現している

組合・府労連の運動で、いろいろなことが改善されたり、改悪を押し留めたりしているわけです。
そこには次の事実があります。

  • その成果は大阪府で働く人すべての人の利益になっている
  • 組合員が増えれば、増えるほど、交渉力が強化される
  • 組合・府労連は組合員さん一人ひとりに支えられている

「組合がとりくんでいるからこそ…」という部分を多くの人に知らせて、多くの人と組合でつながりたいですね。
これを読んでちょっと組合加入ありかな?と思った人は、一度問い合わせて見てください!