教職員の給料はどう決まるのか。春闘と人事院勧告と人事委員会勧告と。
みなさんは自分たちの給料について、ふだんどんなことを考えていますか?あまり何も考えていない人もいるだろうし、将来のことがとても心配な人もいると思います。今の日本社会、子どもが育つのにもとてもお金がかかるということが心配な人もいるでしょう。
大人のたしなみとして、わたしたちは自分たちの給料について、もっと敏感になってもいいのではないかと思います。というわけで、ちょうど8月、人事院勧告が出る時期に、ぜひ読んでほしいと思い、記事を作成しました。
「人事院勧告?なにそれ?」という人も、まあまあ知っているよっていう人も、「へえ!そんなふうに自分たちの給料につながるのか」と気づいて頂ける記事になっています。ぜひ最後までごらんください。
基本は民間との均衡
民間であれば、組合と経営との交渉で決まってきます。きちんと文書もかわされ、経営側がひどいときには「ストライキ」もできます。労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)というやつですね。労働三権についてはこちら(連合のHP)
しかし、教職員組合は、団体行動権は認められていません。団体交渉権も制限されています。したがって、給与交渉ができないわけです。ではどうなっているのか。
わたしたちの給与の基本は「民間との均衡」です。民間があがれば、あがるし、民間が下がれば下がる。これが大前提となっているのです。
人事委員会勧告
では、その「均衡」はどのようにして保たれるのか。
各都道府県には人事委員会という第三者機関があります。毎年、年度のはじめごろから、民間の給与や勤務条件についての調査をします。そしてその年の公務員の給与と比較して、その調査結果にもとづいて給与支払者である「府当局」に対して10月ごろ「勧告」を出します。
「今年は公務員が○○円高いから、下げてください」「今年は公務員が○○円安いから、上げてください」「ボーナスちょっと少ないから月数ふやして」とかいう感じですね。
そのときに、超過勤務の状況や休暇制度の状況などもあわせて調査されて、そういったことについても勧告で言及されます。
10月に勧告が出ますが、年度のはじめの給与調査なので、その影響は年度初めにさかのぼって実施されるという仕組みです。
人事院勧告
そして、これに先立って8月ごろに、「人事院」というところが「勧告」を出します。
これは国家公務員の給与について、民間との比較をする第三者機関です。国全体の民間の給与状況を調べ、国家公務員の給与と比較するわけです。
この結果にも注目です。
2022年度の勧告内容はこちら。でもこれはけっこう読むのが大変なので、とりあえずニュース記事を紹介します。
当然ですが、これは日本全体の話なので、このあとに予定されている各都道府県の人事委員会の結果はこれに近いものになると考えられます。だから注目というわけです。
春闘
そして、民間の春闘が3月〜4月にあります。
毎年、ニュースでも報道されますよね。
こちらも、参考に連合ホームページの記事を紹介しておきますね。
初めての労働問題でもよくわかるコラム「春闘」ってテレビでよく聞くけど
この春闘の結果は、そうです。当然、人事院勧告に影響します。民間春闘の結果が、良くなれば、自然と勧告では「公務員の給与が少ないからあげるべきです」となるわけなのです。
2022年度の春闘のニュースです。
そうなんです。2022年度は久しぶりに良い結果だったのです。
まとめ
いかがでしたか?
民間の春闘→国家公務員の人事院勧告→都道府県人事委員会勧告という流れの中で、わたしたちの給与や勤務条件が影響を与えあっているということをご理解いただけましたでしょうか?だからこそ、労働組合は横のつながりを持って、運動を展開していくのです。
また、こうしてきまった公務員の給料を参考に、一般中小企業の給与が定められたりしているところもあったりするわけです。
そして、人事院、人事委員会の勧告は公務員の労働基本権が制限されているかわりとしてあるので、基本的に給与支払者(国や都道府県)は、従うべきものなのです。
が!しかし!そうはかんたんに行かないのが今の社会。この流れの中に、いろいろと組合が関わっているポイントがあるのですが、それは次の機会にまとめます。
この記事のまとめ
- そもそも、わたしたち教職員の労働組合は労働三権が制限されている。
- その代償措置として「人事院」「人事委員会」がある。
- わたしたちの給料や勤務条件が社会との繋がりの中で決まっている
というお話でした。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
よかったら知り合いにも紹介して、いろいろな人が「大人のたしなみ」として、給料のことを考えていけますように、ご協力お願いします!